ニセコの宿泊税が2026年11月から3%に|白馬との違いと高級宿泊市場への影響を解説

ニセコ町は2026年11月1日から宿泊税を定率制へ変更します。これは、日本を代表する国際的なスキーリゾートが、観光客の増加に伴って必要となるインフラや行政サービスの財源として、宿泊税を活用する動きを示すものです。
改正後は、ニセコ町と北海道の宿泊税を合わせて、宿泊料金の3%となります。
北海道の宿泊税は、宿泊料金に応じて1人1泊あたり100円、200円、500円の定額制で、ニセコ町の宿泊税がその差額を負担する仕組みです。

一方、白馬村は、同様の財源確保という課題に対して異なるアプローチを取っています。
2026年6月から、長野県の宿泊税と合わせ、宿泊料金の区分に応じて税額が上がる定額制を導入しています。
両者の違いが最も明確になるのは、高価格帯の宿泊です。1人1泊の課税対象となる宿泊料金が10万円の場合、11月以降のニセコ町・北海道の宿泊税の合計は3,000円となります。20万円の場合は6,000円です。
これに対し白馬村では、1人1泊の宿泊料金が10万円の場合、村と長野県の宿泊税を合わせて1,900円となり、現行制度ではそれ以上の宿泊料金でも同額です。ニセコと白馬の金額はいずれも、それぞれの都道府県宿泊税を含んだ合計額です。
この違いは、どちらの制度が優れているかというよりも、観光の成長に伴って発生するコストを、リゾート自治体がどのように配分しようとしているかを示しています。
ニセコは宿泊料金に直接連動する仕組みを採用する一方、白馬は一定の宿泊料金区分ごとに定額の税額を設定しています。
ニセコ、定額制から当初の定率制へ
ニセコ町は2024年11月、1人1泊あたり100円から2,000円までの5段階の定額制で町宿泊税を導入しました。その後、わずか2年で定率制へ移行することになりますが、これは町が当初から目指していた仕組みに戻る形です。
ニセコ町は、制度変更の主な理由として4点を挙げています。
宿泊者にとって税額を理解しやすくし、宿泊事業者にとって徴収・管理を簡素化すること
宿泊料金に応じて税負担が比例する仕組みにすること
観光に伴って増加する行政・公共サービスの需要に対応するため、税収を増やすこと
隣接する倶知安町を含むニセコエリア全体で、より一貫性のある仕組みを構築すること
2026年4月には北海道の宿泊税も導入され、ニセコ町では町税と道税の双方を徴収することになりました。これにより、両制度の連携がこれまで以上に重要になっています。
ニセコ町は2025年度の宿泊実績をもとに試算し、定率制であれば町の宿泊税収は約2億5,000万円となる一方、現行の定額制では約1億7,000万円になると見込んでいます。定率制への変更によって、税収は約50%増加する計算です。
宿泊税の使途としては、地域交通、水道・下水道、救急サービス、環境対策、道路整備など、観光に関連して発生するさまざまな需要への対応が想定されています。
白馬、異なる方法で観光に伴う負担へ対応
白馬の事例は、同じ課題に対する有用な比較対象となりますが、ニセコとまったく同じ制度ではありません。
白馬村では、宿泊料金が高くなるほど宿泊者がより高い定額を負担する仕組みを採用しています。これは、2024年に初めて提案された段階的な宿泊税制度をベースとしたものです。
2026年6月1日に導入された最終的な制度は当初の案から変更されていますが、宿泊料金に応じて税額が段階的に上がるという基本的な考え方は維持されています。
白馬村は、宿泊税の税収を持続可能な観光の実現に活用するとともに、交通、道路、水インフラ、廃棄物処理、環境保全、来訪者の受入環境など、観光によるさまざまな負担への対応に充てるとしています。
長野県もまた、宿泊税を観光地への投資と結びつけています。長野県は宿泊税収を、宿泊施設が集積する地域のインフラ整備や環境改善に活用する方針を示しています。
つまり、ニセコと白馬はいずれも、観光需要が集中するリゾート地域の維持に必要なコストを、宿泊者にどのように負担してもらうかという共通の課題に直面しています。
両者の違いが最も大きく表れるのは、高額な宿泊料金帯です。ニセコの定率制では、客室やヴィラの宿泊料金が上昇すれば、それに応じて宿泊税収も自動的に増加します。
一方、白馬の現行制度では、課税対象となる1人1泊の宿泊料金が10万円以上になると、税額は最上位区分の1,900円で固定されます。
リゾートの成長は宿泊施設以外にもコストを生む
この違いは、高級ホテル、ブランド型レジデンス、ヴィラ、そして宿泊施設として運営される投資用不動産にも関係します。
宿泊事業者や物件オーナーにとって、ニセコの今年11月からの制度変更は、すぐに対応が必要となる運営上の変更です。
予約システム、宿泊者への税額表示、税額計算などについて、固定された町税の区分ではなく、宿泊料金に応じて変動する税額に対応する必要があります。
ニセコ町では、制度変更に向けて宿泊事業者への説明を進めており、必要となるシステム改修への支援についても検討しています。
オーナーや投資家にとって、短期的な影響は主に運営面にあります。特に、短期宿泊施設として利用される物件では、その影響が大きくなります。
一方で、いずれかの宿泊税制度だけによって、不動産価格や投資需要が大きく変化すると判断できる材料は現時点ではありません。
より大きな論点は、急速に成長するリゾート市場が、民間開発を支える周辺のインフラや公共サービスの費用をどのように負担していくかという点です。
新たなホテル、ヴィラ、ブランド型レジデンスは宿泊供給と経済活動を拡大させる一方、来訪者の増加は交通、道路、上下水道、廃棄物処理、救急サービスなどへの需要も押し上げます。
ニセコと白馬はいずれも、こうしたコストの一部を宿泊税によって賄おうとしています。
両者の制度の違いは、日本の国際的なリゾート市場が成熟する中で、議論の焦点が「観光によるインフラ・公共サービスへの財政負担をどう支えるか」だけでなく、「その負担を宿泊市場全体でどのように分担するか」へと移りつつあることを示しています。
参考資料:
ニセコ町の宿泊税について
北海道の宿泊税について
白馬村の宿泊税について
白馬村、2026年に5段階の宿泊税を導入へ|最高1,850円、年間約2億円を想定
(ペイシャンスリアルティ インテリジェンス記事)
長野県の宿泊税、2026年6月導入へ|軽井沢・白馬などリゾート地域のインフラ投資を促進(ペイシャンスリアルティ インテリジェンス記事)
出典:
Patience Realty(2026年9月)



