長野県の宿泊税、2026年6月導入へ|軽井沢・白馬などリゾート地域のインフラ投資を促進

長野県が2026年6月から導入する宿泊税の税収について、宿泊施設が集積する地域に重点的に配分する方針であることがわかりました。
この取り組みは、宿泊施設が集積する地域を観光客の周遊や長期滞在の拠点として強化することで、地域社会と宿泊事業者の双方を支援することを目的としています。県は、宿泊税を重点的に活用することで、県内全域で「宿泊地改革」を加速させる方針です。
制度では、1泊6,000円以上の宿泊を対象に1泊あたり200円の定額税を課し、2029年6月からは300円に引き上げる予定です。県は導入から最初の5年間で約108億円の税収を見込み、そのうち42億円を観光客の受け入れ環境の整備に充てる計画です。
県の観光担当者は、訪問者に「長野の観光地が変わった」と実感してもらうには、温泉地など宿泊施設が集積する地域のまちづくりが最も効果的だとしています。県はこうした取り組みに20億円超を配分する予定で、個別事業としては最大規模となります。
補助金は、観光の拠点となる宿泊施設集積地の環境整備に活用され、待合スペースの改善や飲食店の誘致などを支援します。2026年度には、市町村、観光協会、観光地域づくり法人(DMO)などから申請を受け付ける予定です。
8地域程度を選定し、1地域あたり4億円または2億円を補助する計画です。
この制度は、温泉地に加えて軽井沢や白馬などの観光地にも恩恵をもたらすとみられます。民間によるホテル開発や改修がすでに進むなか、県は地域内で共有される公共空間を整備することで、エリア全体の魅力向上を目指します。

長野県軽井沢近郊の白糸の滝 / Photo by sabari nathan on Unsplash
また、宿泊事業者の設備投資を支援するため、5億円を別途確保します。県の方針に沿った事業を対象とし、付加価値向上のための改修、ユニバーサルデザインへの対応、訪問者の満足度向上につながる取り組みなどを支援します。200を超える宿泊施設への支援を想定しています。
県は政策上の重要な指標として、2030年までに観光消費額を2024年比で29%増加させ、1兆3,000億円とするKGI(重要目標達成指標)を設定しています。
この目標には、観光が地域社会に貢献していると住民が感じているかどうかも含まれており、持続可能な地域づくりという、より広範な目標を反映しています。
県の宿泊税に加えて、松本市、軽井沢町、白馬村、阿智村、野沢温泉村などの自治体も6月から独自の宿泊税を導入する予定です。独自の宿泊税を導入しない自治体を支援するため、県は税収の一部を再配分します。3分の1を使途を柔軟に決められる一般交付金として、6分の1を県の政策に沿った特定目的の交付金として配分する計画です。
一方、日帰り観光客への依存度が高い自治体については、より配慮が必要だと指摘する専門家もいます。阿智村や軽井沢町の宿泊税検討委員会などに参加した長野県立大学の田村秀教授は、観光消費と宿泊が異なる地域で行われるケースがあると指摘しています。
例えば、木曽地域を周遊する観光客が松本市や諏訪地域に宿泊する場合、日帰り観光客を受け入れる自治体は観光インフラの維持・整備に費用を負担する一方、宿泊税収の恩恵を相対的に受けにくくなります。
その結果、観光関連のコストが増加するなかで、日帰り観光地の財源が不足する可能性があります。
自治体や宿泊事業者は、より広域的な観光戦略を通じて、旅行者の滞在期間を延ばす取り組みを強化しています。
「宿泊地改革」が進むにつれて、県内の複数の地域を訪れながら、一つのエリアを拠点として滞在する旅行者が増えるなど、観光客の移動パターンにも変化が生じています。
出典:
Patience Realty(2026年3月)



