日本政府、不動産の相続税評価を「購入価格ベース」へ見直し提案
- Tsubasa Yajima

- 2025年11月28日
- 読了時間: 2分
2025年11月26日付の日本経済新聞によると、日本政府は不動産の相続税評価方法を大幅に見直す方針を示しました。従来の基準である国税庁が毎年公表する路線価ではなく、「購入時の取得価格」を起点とした新たな評価方式へ移行する案が示されています。

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政府は、現行制度では不動産の評価額を大幅に低く算定できる余地があり、結果として相続税負担を不当に抑えられるケースがあると指摘。今回の見直しは、その“抜け穴”を塞ぐことが狙いとされています。
新制度案では、まず被相続人が支払った購入価格を基準とし、その後の地価変動を反映して調整したうえで、最終的な評価額をその調整後価格の概ね2割減とする仕組みが検討されています。
路線価方式に比べ、課税評価が引き上がるケースが多く、相続税収の増加につながるとみられています。
一方、賃貸マンションなどの収益物件は、賃料や稼働率が高いほど実勢価値が上がる一方、相続税評価では「利用制限が多い」として低く評価されがちでした。このギャップが、現金より不動産を相続した方が税負担を軽減できる構造を生み、節税目的の投資を助長してきたとされています。今回の提案はこうした歪みの是正も狙います。
また、複数の投資家が共同で不動産に出資する「小口化商品」に対しても評価方法を見直し、市場で実際に取引されている価格(セカンダリーマーケットの取引価格)を基準とする方針です。これにより、実勢価値を反映しない路線価方式による過小評価を防ぐ狙いがあります。
国税庁はすでに2024年度税制改正で、いわゆる「タワマン節税」への是正措置を導入していますが、賃貸不動産や小口化商品を利用した節税手法はなお大きな課題とされています。
11月の政府税制調査会で示された事例では、2019年に21億円で購入された千代田区内の賃貸マンションが、2022年の相続時には4億2,000万円と約5分の1に評価されていたケースが報告されました。
小口化商品では、3,000万円の出資額が相続税評価でわずか480万円とされ、1,000万円超の課税軽減につながったケースも示されています。
現行法では、資産の「時価」に基づいて評価することが求められているものの、不動産の市場価値は算定が難しいため、従来は路線価や公的指標が広く用いられてきました。今回の改革案は、数十年ぶりともいえる評価手法の大転換となる可能性がありますが、現時点では草案段階であり、法制化には至っていません。
出典:
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