東京の新築マンションの投機的転売(フリッピング)抑制へー業界団体が自主ルールを導入
- Tsubasa Yajima

- 11月19日
- 読了時間: 3分
2025年 11月18日付の日本経済新聞によると東京都心のマンション価格高騰を受け、不動産業界が新築マンションの投機的な転売(フリッピング)を抑制する動きを強めています。
不動産協会(RECAJ)は、三井不動産や三菱地所など約160社の大手デベロッパーが加盟する業界団体で、このたび「引き渡し前の新築マンション転売を禁止する」新たな自主ルールを取りまとめました。
新ルールでは、契約後の転売行為が判明した場合、契約解除や手付金(価格の約10%)の没収が行われる可能性があります。

中央区の「セントラルガーデン月島ザ・タワー」は、このルールを初めて導入した物件となりました(詳細は後述)
ガイドラインでは、売買契約締結から引き渡しまでの間、第三者への転売を目的とした契約、仲介依頼、販売を目的とする情報共有などを禁止。また重要事項説明書で買主に通知されます。ただし自主ルールのため、適用は立地や規模などプロジェクトごとに各社判断となります。
このルールが適用される場合、日本人・外国人いずれの購入者にも同様に適用されます。
三井不動産レジデンシャルは、2029年3月引き渡し予定の「セントラルガーデン月島ザ・タワー」で今月、初めてこの措置を導入しました。
販売価格は1億〜5億円を見込んでおり、手付金は1,000万〜5,000万円に達する可能性があります。
背景には一般消費者の不満が高まるマンション価格の上昇があります。不動産経済研究所によると、2025年4〜9月の東京23区における新築マンション平均価格は1億3,309万円で、前年同期比20.4%上、首都圏平均も9,489万円と1億円に迫っており、土地供給の制約、高需要、建設費の上昇が価格を押し上げ、購入者の間では狭小物件や中古市場へ流れる動きもみられます。
新築の短期転売も増加中で、ワンノートオブアカインドが運営する「マンションレビュー」のデータによれば、2025年1~10月に1年未満の新築物件が1,355件売りに出され、10年前の2.4倍となりました。
三菱UFJ信託銀行によると、2024年の23区の中古マンション流通のうち築7年未満はわずか6.3%。一方、千代田・港・渋谷区など都心部では外国人購入者の比率が平均19%に達しています。
自治体も懸念を示しており、今年7月には千代田区がRECAJに対し「引き渡し後5年間の転売禁止」を含む再開発物件向けの規制導入を要請しました。
「ザ・豊海タワー マリン&スカイ」コンセプト動画
一部デベロッパーはすでに独自規制を実施しており、三井不動産は「ザ・豊海タワー マリン&スカイ」で購入上限を“1世帯1戸”に設定。住友不動産は「グランドシティタワー池袋」などで引き渡し後5年間転売禁止とし、違反時には最大20%の違約金を課しています。
出典:
日経電子版(全文の閲覧には課金が必要です)


