東京建物社長が語る高級分譲マンション販売の動向
- Tsubasa Yajima

- 8月20日
- 読了時間: 4分
2025年8月19日、日本経済新聞は「Brillia(ブリリア)」ブランドの分譲マンションを展開する東京建物の小澤勝仁社長にインタビューを行いました。小澤氏は、いわゆる「スーパー・パワー・ファミリー」が市場を支えており、この上昇傾向は当面続くとの見方を示しました。

東京建物社長 小澤克人氏(デベロッパーウェブサイトより)
物件価格の見通し ― 下落の兆しなし
価格が今後も上昇するかどうかについて問われた小澤氏は、次のように述べました。
「上昇ペースはやや緩やかになるかもしれませんが、価格が下がることは想像しにくいです。新築分譲マンションの供給は減少している一方で、都心に住みたいという需要は依然として強い。共働き世帯による購買力の増加により、年収3,000万円超の『スーパー・パワー・ファミリー』や『パワーカップル』が市場を支えています。」
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さらに、中古市場の動向について次のように語りました。 「新築供給が限られているため中古マンションへの需要が高まっており、既存の住宅所有者が新居に住み替える健全な循環が生まれています。」
投資購入規制について
千代田区は投資目的のマンション購入に対する規制を検討するよう業界団体に要請しています。
これに対し小澤氏は以下のように述べています。
「東京建物としては基本的に規制を設けていませんが、住宅が純粋に投機対象となるのは望ましくありません。ブリリア購入者の大半は日本人で、実需としての購入が中心です。ただし、エンドユーザーと投資家を完全に区別することはできません。売却後に転売理由を追跡するのは難しいためです。」
「投資も市場の一部を構成していますが、ブリリアの販売実績を見る限り、実需が主体です。仮に規制が導入されても、大きな影響はないと思います。」
ブリリアの戦略:富裕層をターゲットに
今後について小澤氏は、引き続き富裕層をターゲットにすると述べました。
「マンションは売って終わりではなく、その後いかに劣化を防ぎ管理していくかが重要です。セキュリティや共用施設の充実が入居者満足度を高める鍵です。当社では高級マンションの企画・販売に特化した専門チームを設置しています。」
主な事例としては、以下のプロジェクトがあります
ブリリアタワー堂島(大阪・2024年竣工):ペントハウス階のパーティールームから市内を一望でき、世界的アーティストの作品も設置。
ブリリアタワー乃木坂(東京・2028年竣工予定):乃木坂駅直結。2025年10月の販売開始を前に、既に5,500件以上の問い合わせを獲得。
「販売後の品質維持は大手デベロッパーこそが保証できるものです。高級マンション市場はますます大手に集約されていくでしょう。」
土地取得と再開発の課題
東京建物が2030年までに年間2,000戸の販売を目指す中、都心での土地不足への対応について問われた小澤氏は次のように述べました。
「土地確保は最優先事項です。当社は130年の歴史を持つ日本最古の大手デベロッパーであり、地権者との長年の関係から、売却を検討する際に直接声をかけていただくことが多く、供給を維持できています。」
同社は再開発プロジェクトも積極的に推進しています。
「再開発は地権者の同意が必要で時間がかかりますが、安定供給には不可欠です。旧耐震基準で建設された老朽建物は空室化し、社会問題化するリスクがあります。再開発によって機能性を高め、防災性を向上させ、都市の安全を強化できます。」
東京に注力、地方は課題も
都心では八重洲・日本橋・京橋エリアを優先しており、東京駅八重洲口近くで2026年竣工予定の複合施設「ToFroM Yaesu」などを進めています。
一方、地方プロジェクトには課題があります。
「建設コストの高騰により、地方都市での採算性は難しい状況です。新潟の旧三越跡地の再開発を検討していますが、スケジュールはまだ不透明です。」
出典:
日経電子版(全文の閲覧には課金が必要です)




