首都圏の3駅に1駅が、新築マンションの購入に年収1,000万円以上を必要とする状況に
- Tsubasa Yajima

- 8月4日
- 読了時間: 3分
不動産データ提供会社の東京カンテイは、2025年7月31日に首都圏における住宅購入の負担感に関する最新レポートを発表しました。これによると、新築マンションの購入には、ますます高い世帯年収が求められている実態が明らかになりました。
首都圏とは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県を指します。
東京カンテイは、2023年の年収倍率データと新築マンション価格(70㎡に換算)をもとに、各鉄道駅ごとに新築マンションを一般的な住宅ローンで購入するために必要とされる推定最低世帯年収を算出しました。
2024年時点では、新築マンションの供給がある駅のうち、38.3%の駅で年収1,000万円以上が必要となっており、これは2019年の25.4%から大きく増加しています。

首都圏駅別の不動産購入に必要な推定必要年収マップ 2025年版 / 東京カンテイ提供のものをペイシャンスリアルティにより編集
以下は、必要年収の水準別に見た駅数の変化です:
年収2,000万円以上が必要な駅:21駅(7.4%)― 2019年の5駅(1.4%)から増加
年収1,500万円以上が必要な駅:40駅(14.2%)― 2019年の15駅(4.2%)から約3倍に
年収1,000万円以上が必要な駅:108駅 ― 2019年の90駅から増加
これらの収入水準の上昇は、東京圏における新築マンションの「中間層離れ」を反映しています。
東京カンテイは、「もともと南側のJR山手線沿線を中心に展開していた高級マーケットが、今では北側や周辺エリア、さらに横浜市中心部や城南地区にまで広がっている」とコメントしています。
2019年当時、年収1,000万円超の物件は主に東京23区の中心部に集中していましたが、2024年にはそうしたエリアでは希少となり、現在は横浜、北千住、西船橋といったターミナル駅に広がりを見せています。
デベロッパーは高所得層へシフト
東京カンテイは、こうした住宅価格の上昇は、建設コストの高騰(人件費および資材価格の上昇)に加え、デベロッパーの販売戦略の変化によるものと分析しています。
多くの大手デベロッパーは、「パワーファミリー」「パワーカップル」と呼ばれる、年収1,500万円~2,000万円以上の高所得共働き世帯を主なターゲットに据えて新築マンション開発を進めています。
この流れにより、東京圏の購入層の構成は大きく変化しつつあり、在庫も富裕層に特化した内容へとシフトしています。
2024年時点で最も高額な駅
2024年において、最も高額な推定必要年収が示された駅は以下の通りです:
白金高輪(都営三田線)— 年収4,233万円
表参道(東京メトロ銀座線)— 年収4,177万円
麻布十番(東京メトロ南北線)— 年収3,857万円
これらの駅では、2019年以降、必要年収が100%以上増加しています。
調査方法について
「推定必要世帯年収」は、新築マンションの平均価格(70㎡換算)を、住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」に基づく年収倍率の中央値で割って算出しています。2023年の年収倍率を基準に、2024年のデータを代替的に算出しています。
詳しくは:
東京カンテイ『2024年 首都圏新築マンション必要年収レポート』



