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新築戸建ての長期優良住宅認定率が約5割に|既存住宅では普及進まず

執筆者の写真: Tsubasa Yajima
Tsubasa Yajima
7月23日
読了時間: 5分
日本の新築戸建てでは、政府の「長期優良住宅」認定を取得する住宅が約半数に達する一方、既存住宅では認定がほとんど普及していない状況が続いています。 

主なポイント

  • 2025年度の新築戸建てでは、着工戸数の49.8%が長期優良住宅の認定を取得し、2年前の31.3%から上昇しています。

     

  • 共同住宅では認定率が2.4%にとどまりました。

     

  • 既存住宅で2025年度に認定を取得したのはわずか127戸でした。


  • 認定は住宅の品質や維持管理に関する公的な基準を示すものですが、建物状況調査(インスペクション)の代わりになるものではありません。 


国土交通省によると、2026年3月までの2025年度に長期優良住宅の認定を受けた新築戸建ては15万5,838戸となりました。


これは新築戸建ての着工戸数の49.8%に相当し、2024年度の39.3%、2023年度の31.3%から大きく上昇しています。

日本の新築戸建てでは、政府の「長期優良住宅」認定を取得する住宅が約半数に達する一方、既存住宅では認定がほとんど普及していない状況が続いています

この数字からは、日本の新築戸建てにおける住宅品質の基準が急速に高まっていることがうかがえます。一方で、より規模の大きい既存住宅市場が抱える住宅の品質や資産価値の透明性に関する課題の解消には、まだ十分につながっていません。


長期優良住宅の認定が新築戸建てで普及

日本では2009年に新築住宅を対象とした長期優良住宅の認定制度が導入されました。


認定を受けるには、構造の耐久性、耐震性、省エネルギー性能、点検・修繕のしやすさなどについて、一定の基準を満たした建築・維持保全計画が認定される必要があります。


所有者は、認定された計画に沿って住宅の点検や維持管理を継続することが求められます。


そのため長期優良住宅の認定は、建築時の品質だけを評価するものではなく、住宅が長期間にわたって適切に維持管理されることを促す仕組みでもあります。


国土交通省の最新資料では、認定件数が急速に増加した理由を一つに特定していません。ただし、税制上の優遇措置などが普及を後押ししている可能性があります。


住宅の種類や購入者の条件によっては、認定住宅に対して税制上の優遇措置が適用されるほか、住宅ローンに関する優遇を受けられる場合があります。


こうしたメリットが、開発事業者や購入者に認定取得を促す要因となっており、認定基準への適合が新築戸建てにおいて一般的になりつつあることを示しています。


マンションについては依然として浸透が大きく遅れる

2025年度に長期優良住宅の認定を取得した共同住宅は9,433戸で、同カテゴリーの着工戸数に占める割合は2.4%でした。


前年の1.8%、2年前の1.1%から上昇したものの、新築戸建ての49.8%には大きく及びません。


その理由の一つとして、マンションなどの共同住宅では、個々の住戸だけではなく建物全体が認定の対象となることが考えられます。


構造の耐久性、共用設備、長期的な維持管理などについて、建物全体として対応する必要があります。そのため、個々の購入者が開発事業者や建物の設計、管理体制とは独立して認定を取得することは一般的にできません。


認定取得はインスペクションのかわりにならず

長期優良住宅の認定は、購入前に行う建物状況調査(インスペクション)と混同すべきではありません。


認定制度では、定められた基準を満たす建築・維持保全計画が認定されたことを確認しますが、その住宅に将来的な不具合や大規模な修繕が発生しないことを保証するものではありません。


既存の長期優良住宅を購入する場合でも、購入者は点検・修繕・維持管理の記録を確認し、必要に応じて第三者による建物状況調査を依頼することが重要です。


認定の主な価値の一つは、住宅に関する情報を残せることにあります。維持管理の履歴が記録されていれば、建物の築年数だけでは分からない住宅の状態を、将来の購入者がより詳しく把握できる可能性があります。


既存住宅ではほとんど普及せず

長期優良住宅の認定制度は、2016年に大規模な増築・改築を行う住宅にも対象が拡大され、2022年10月には工事を伴わない既存住宅にも対象が広がりました。


しかし、制度の対象が拡大したにもかかわらず、既存住宅での認定取得は極めて限定的です。 

2025年度に認定を取得した既存住宅はわずか127戸でした。工事を伴わない既存住宅を対象とする認定制度が導入されて以降、全国で認定された住宅は合計311戸にとどまっています。


また、2025年度には増築・改築を行った住宅でも67戸が認定を取得しました。


この水準では、長期優良住宅の認定制度が日本の既存住宅市場で広く利用される品質評価制度として機能しているとは言いにくい状況です。


これは、住宅購入者が、適切に建築・維持管理されてきた中古住宅と、同じ築年数でありながら十分な維持・修繕が行われていない住宅を見分けることが難しいという課題にも関係します。


維持管理の記録や独立した品質評価の基準が十分に整っていなければ、購入者や金融機関、査定担当者は、実際の住宅の状態よりも築年数を重視し続ける可能性があります。


購入者にとって何を意味するのか

新築戸建ての購入者にとって、長期優良住宅の認定は、特別な付加価値ではなく、一般的な選択肢になりつつあります。


認定の有無は、建築品質、省エネルギー性能、将来的な維持管理の必要性などを比較する際の公的な判断材料となります。


一方で、認定住宅の所有者には一定の責任も伴います。所有者は認定された維持保全計画に沿って住宅を管理し、実施した点検や修繕の記録を保管することが求められます。


認定を取得したからといって、将来の売却価格が高くなることが保証されるわけではありません。しかし、維持管理の履歴が残されていれば、同程度の築年数の住宅と比べて、適切な水準で維持管理されてきたことを購入希望者に示しやすくなる可能性があります。


出典/Further Reading:

Patience Realty(2026年7月)

Working on Laptop

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