三菱UFJ銀行・三井住友銀行が変動金利引き上げ|住宅購入の負担感に影響

三菱UFJ銀行と三井住友銀行は2026年9月1日、変動型住宅ローンの金利を0.25%引き上げました。住宅価格が高水準で推移する中、新たに住宅を購入する人の資金調達コストが上昇しています。
三菱UFJ銀行では、条件を満たす新規借入者向けの優遇変動金利が、8月の年0.945%から9月には年1.195%へ上昇しました。基準となる店頭金利は年3.375%です。
三井住友銀行も、店頭金利を年3.125%から年3.375%へ引き上げました。条件を満たす新規借入者向けの9月の優遇金利は約年1.525%まで上昇していますが、実際の適用金利は商品内容や審査条件によって異なります。
0.25%の金利上昇で返済額はどの程度増えるのか
三菱UFJ銀行の優遇変動金利が年0.945%から年1.195%へ上昇したケースをもとに、元利均等返済・返済期間35年の住宅ローンを想定すると、月々の返済額は以下のように増加します。
借入額5,000万円:約5,900円増
借入額7,500万円:約8,800円増
借入額1億円:約1万1,700円増
これらは、新たにより高い金利で住宅ローンを借り入れる場合の影響を示したものです。すでに住宅ローンを利用している借入者の場合、仕組みはより複雑です。
店頭金利がそのまま適用金利とは限らない
日本の変動型住宅ローンは、概ね次のような仕組みで考えることができます。
基準金利 − 優遇幅 = 実際の適用金利
2026年9月の三菱UFJ銀行では、店頭金利は年3.375%です。新規借入者が2.180%の優遇を受ける場合、実際の適用金利は年1.195%となります。
この優遇幅は、一般的に一時的なキャンペーン金利ではありません。通常は住宅ローン契約時に優遇幅が設定される一方、その基準となる金利はその後変更される可能性があります。
年 | 基準金利 | 新規借入者向け優遇幅(最大) | 同適用金利 |
2020 | 2.475% | -2.000 | 0.475% |
2023 | 2.475% | -2.130 | 0.475% |
2026 | 3.375% | -2.180 | 0.475% |
この仕組みを見ると、新規借入者向けに表示される金利が、基準金利とは異なる動きをする理由も分かります。
例えば2020年から2023年にかけて、三菱UFJ銀行の基準金利は年2.475%で据え置かれていましたが、優遇幅が拡大したことで、新規借入者向けの金利は年0.475%から年0.345%へ低下しました。
すでに借り入れを行っている利用者が、自動的にこうした新規顧客向けの低い金利を適用されるわけではありません。
一方、基準金利の推移を見ると異なる動きが確認できます。長期間にわたって据え置かれていた三菱UFJ銀行と三井住友銀行の変動型住宅ローンの基準金利は、2024年以降、複数回にわたって引き上げられています。
既存の借入者にとっては、新規顧客向けの優遇幅の変化よりも、こうした基準金利の動きのほうが重要になります。
既存の借入者の返済額がすぐに増えるとは限らない
基準金利が上昇しても、毎月の住宅ローン返済額が直ちに増えるとは限りません。
住宅ローンには、銀行の基準金利、優遇後に借入者へ適用される実際の金利、そして毎月の返済額という3つの異なる要素があります。
三菱UFJ銀行では、既存の変動型住宅ローンについて、ローンの種類に応じて適用金利が見直されます。また、対象となる元利均等返済型の住宅ローンでは、一般的に「5年ルール」と呼ばれる仕組みが適用されます。
この場合、金利が上昇しても、一定期間は毎月の返済額が変わらないことがあります。
ただしその間、毎月の返済額に占める利息の割合が増え、元金の返済に充てられる金額は減少します。
また、対象となる住宅ローンで返済額が見直される際、三菱UFJ銀行では、新しい返済額を前回の125%までに抑える「125%ルール」も適用されます。三井住友銀行でも、対象となる元利均等返済型の変動金利住宅ローンについて、同様の仕組みを採用しています。
これらの仕組みは、金利上昇による短期的なキャッシュフローへの影響を緩和するものです。しかし、利息負担そのものがなくなるわけではありません。
なぜ住宅ローン金利は上昇しているのか
日本の変動型住宅ローン金利は、銀行の短期プライムレートと密接に関連しています。
日本銀行による金融政策の引き締めによって短期金利が上昇すると、銀行は短期プライムレートを引き上げることができます。その結果、変動型住宅ローンの基準金利にも影響が及びます。
三菱UFJ銀行は、今回の9月の金利改定について、先に実施した短期プライムレートの引き上げと関連していることを明示しています。
ただし、金利改定のタイミングは金融機関によって異なります。みずほ銀行、りそな銀行、三井住友信託銀行では、9月に新規借入者向け優遇変動金利について同様の引き上げは行われませんでした。
住宅購入の負担に与える影響
日本では現在も変動型住宅ローンの利用が特に多くなっています。
住宅金融支援機構の調査によると、2025年4月から9月に住宅ローンを利用した人の75.0%が変動金利型を選択しました。
今回の金利上昇は、特に東京都心部をはじめとする価格の高い都市部で住宅価格が上昇してきた後に起きています。

住宅購入者は、2つの方向から負担を受ける状況になっています。高額な住宅を購入するためにより大きな住宅ローンが必要になる一方、その借入にかかる資金調達コストも上昇しているためです。
売主にとっても、この変化は重要です。借入コストの上昇は、購入者が住宅価格にどこまで対応できるか、またどの程度まで予算を引き上げられるかを制約する可能性があります。
不動産価格が高水準を維持していても、資金調達上の制約によって、家計がさらなる価格上昇を支えることが難しくなる可能性があります。
今回の0.25%の引き上げだけで、住宅価格の方向性が決まる可能性は低いでしょう。
しかし、金利の引き上げが繰り返され、さらに物価上昇によって家計への負担がすでに高まっている状況が続けば、徐々に借入可能額が減少し、購入者心理が弱まり、高価格帯の住宅を購入できる世帯の数が減少する可能性があります。
その結果、一部の購入者は、より価格の低い物件や中古住宅、あるいは都心の高価格帯エリアから離れた地域へと選択肢を広げる可能性があります。
一方、売主側も、市場が今後どこまで価格上昇を受け入れられるのかについて、より現実的な判断を求められる可能性があります。
日本の住宅ローン市場は、依然として国際的に見れば低金利の環境にあります。
一方で変化しているのは、極めて低い変動金利が高水準の住宅価格を支え続けられる範囲です。
この支えが弱まるにつれ、資金調達コストは、購入者がいくらまで住宅を購入できるかだけでなく、売主がどこまで価格を維持・上昇させられるかを左右する、より重要な要素になっていく可能性があります。
出典/Further Reading:
Patience Realty(2026年9月)


