港区・高輪の老朽マンション再生事業が進展|借地権を所有権化し建替えへ
- Tsubasa Yajima

- 6月3日
- 読了時間: 3分
日鉄興和不動産と首都圏不燃建築公社は2026年6月2日、東京都港区で進める「高輪ビルマンション建替事業」において、権利変換計画が5月に港区から認可を受けたと発表しました。
本事業は、既存の借地権型マンションを所有権マンションへ転換するとともに、隣接地を取り込んで建替えを実現する再生プロジェクトとして注目されています。

「高輪ビルマンション建替事業」の完成予想CG(プレスリリースより)
日鉄興和不動産と首都圏不燃建築公社は事業協力者として参画しています。2024年2月には区分所有者による建替え決議が全会一致で可決され、同年10月には事業主体となる高輪ビルマンション建替組合の設立が認可されました。
白金高輪駅徒歩3分の築57年マンション
計画地は東京メトロ南北線および都営三田線「白金高輪」駅から徒歩3分の立地です。既存の高輪ビルは1967年竣工の地上12階・地下1階、鉄骨鉄筋コンクリート造の複合用途マンションで、住宅・事務所・店舗を含む40戸、延床面積約5,089㎡となっています。築50年以上が経過しており、老朽化や耐震性への対応が課題となっていました。
複雑な権利関係を整理して所有権化
今回の建替え事業の特徴は、複雑な土地権利関係を整理しながら再開発を進める点にあります。
既存の高輪ビルは一般的な所有権マンションとは異なり、土地所有者とは別の権利者が設定する土地利用権に基づいて建てられていました。
そのため区分所有者は専有部分を所有している一方で、建物の敷地を通常の所有権マンションのように共有しているわけではありませんでした。
マンション建替えでは建物だけでなく敷地権の整理も必要となるため、このような権利関係は合意形成を難しくする要因となります。

権利変換と所有権化を行うスキームの模式図(出典:プレスリリース)
隣接地を取り込み大規模化
今回の事業では、既存敷地だけでは計画する建物規模を実現することが難しかったため、隣接地を取り込んだ一体開発が進められました。
事業に先立ち、日鉄興和不動産が既存敷地の底地および隣接地を取得したことで、土地所有者との調整リスクを低減しています。
これにより、既存の土地利用権を権利変換制度によって再編し、建替え後のマンションでは所有権として整理する仕組みが実現しました。
従来の権利構造を維持したままではなく、建替えを機に土地と建物を一体化した所有権マンションへ転換する点が大きな特徴です。
103戸の新マンションへ建替え
建替え後の敷地面積は約1,250㎡から約1,772㎡へ拡大します。
新たなマンションは地上18階建て、鉄筋コンクリート造、総戸数103戸、延床面積約12,500㎡を予定しています。
戸数は40戸から103戸へ大幅に増加し、敷地拡張による事業性向上も図られています。
老朽マンション再生モデルとして注目
本事業は、借地権や複雑な権利関係を抱える老朽マンションの再生モデルとしても注目されています。
日鉄興和不動産はマンション再生事業を重点分野の一つに位置付けており、これまでにも借地権マンションや複合用途建物、隣接地統合を伴う建替え事業を手掛けてきました。
また、借地権マンションを所有権マンションへ転換する再生事業の実績も有しています。
高輪ビルの建替えは、都市部で増加する老朽マンション問題に対し、権利関係の整理と隣接地の活用を組み合わせることで再生を実現する先進事例として位置付けられそうです。
事業の完成は2032年2月を予定しています。
Further Reading:
「高輪ビルマンション建替え事業」に関するプレスリリース/日鉄興和不動産株式会社


