ホームステージングを実施した物件は売却・賃貸の成約が早い傾向に
- Tsubasa Yajima

- 7月25日
- 読了時間: 3分
日本の不動産業界では、ホームステージングを販売・賃貸戦略の重要な手法として導入する動きが広がっています。これは、2025年7月24日に日本ホームステージング協会が発表した「ホームステージング白書2024」の内容です。

「東京の高級マンションのインテリア(家具付き、カメラマンが撮影)」というプロンプトとファンタジーフィルターを使用したWixのテキスト画像AIによる合成イメージ写真 / 無断複写・転載を禁じます
この白書は、同協会による第8回目の年次調査に基づいたもので、2024年1月から12月までの1年間の実績を対象とし、不動産事業者171名およびホームステージング関連企業136社からの回答をまとめたものです。
東京都内での活用が急増
東京都内でのホームステージング事例数は、前年比7.1%増加しました。これは、住宅需要の高まりと首都圏における競争の激化が背景にあります。物件の第一印象が契約を左右する市場において、ステージングは物件の魅力を高める有効な手段として注目されています。
全国的には、東京圏、大阪、福岡といった大都市圏での利用が特に顕著です。
売却物件では成約までの期間を短縮
売却用物件においては、ホームステージング実施後に30%の物件が1か月以内に成約し、さらに約20%が2週間以内に売却されました。平均すると、ステージングされた物件の70%が2か月以内に成約しています。
ステージングの対象としては、「売れにくい」とされる築年数が古い物件や立地条件の悪い物件が多く見られますが、最近では高級物件への導入も進んでおり、現在では2番目に多いカテゴリとなっています。
物件あたりの平均ステージング予算は10万~20万円で、ステージングの外部委託が増加しており、現在では38.9%の業者が専門業者に依頼しています。これは、高級物件市場の拡大に伴い、より質の高い演出が求められているためです。
賃貸市場でも効果を発揮
賃貸市場においては、長期空室や間取りに難がある物件を中心にステージングが行われています。ステージング実施後、約60%の物件が2か月以内に入居者を獲得しており、55%のオーナーが「賃貸までの期間が短くなった」と回答しています。
特に注目すべきは、オーナーの60%がステージング後に賃料を引き上げたという点です:
50%が1~4%の賃料アップ
10.6%が5%以上の賃料アップ
こうした傾向は、特に賃料水準が高くなっている首都圏で顕著に見られ、借り手の目が厳しくなる中、価格に見合う印象づくりが重要となっています。
一方で、賃貸物件におけるホームステージングは、予算面の制約から今もなお管理会社による内製が中心となっています。
売主・オーナーの満足度も高水準
ホームステージングの効果は、スピードや価格面にとどまりません。調査に回答した不動産業者のうち:
43.3%が「内見後の成約率が上がった」と回答
31.6%が「内見数が増えた」と回答
84.2%の物件所有者が「満足している」と回答しました
協会は、「ホームステージングはますます標準的な実務となりつつある」と述べています。実際22.2%の回答者が「5年以上継続的にステージングを実施している」と答えています。
参考資料:
日本ホームステージング協会「ホームステージング白書2024」



