首都圏中古マンションの在庫が高価格帯に集中|1億円未満は減少、1億円以上は増加

首都圏の中古マンション市場で、売り出し中の物件が高価格帯にますます集中しています。
不動産データ会社マンションリサーチの最新の分析によると、1億円を超える物件の在庫が積み上がる一方、1億円未満の物件は減少しています。

同社は2023年1月から2026年7月までに公開された中古マンションの売り出し情報48万1,019件を分析しました。
主なポイント
1億~2億円、2億~5億円の価格帯で在庫が増加。
1億円未満の売り出し物件は減少。
住宅ローン金利の上昇が高価格帯の需要に影響している可能性。
高価格帯の在庫が増えることで、平均売出し価格が押し上げられる可能性。
この結果は、価格帯による市場の二極化が進んでいることを示すとともに、中古マンションの在庫総数が増加していても、すべての予算帯で買い手の選択肢が増えているとは限らないことを示しています。
1億円以上の価格帯で在庫が増加
マンションリサーチは、1億円を首都圏中古マンション市場における重要な分岐点として捉えています。
1億~2億円、2億~5億円の価格帯では在庫が増加しています。
5億円を超える物件の在庫も高い水準にあります。
一方、1億円未満では売り出し中の物件が減少しています。
中古マンション市場全体でも在庫は増加しています。東日本不動産流通機構(REINS)は、2026年7月の首都圏中古マンション在庫が前年同月比で増加したと報告しています。
マンションリサーチの分析は、この在庫増加が市場全体に均等に広がっているのではなく、高価格帯に集中していることを示しています。
そのため、買い手は予算によって大きく異なる市場環境に直面する可能性があります。
住宅ローン金利の上昇が需要に影響か
マンションリサーチは、この価格帯による違いの背景として、住宅ローン金利の上昇を一つの可能性として挙げています。
高額な住宅を購入する買い手は一般的により大きな借入を必要とするため、借入コストの上昇による影響は高価格帯ほど大きくなります。
また同社は、一部の買い手が市場から退出するのではなく、購入する物件の条件を調整している可能性も指摘しています。
具体的には、都心からより離れた場所を選ぶ、駅から徒歩でより長い距離を許容する、築年数の古い物件やより小規模な住戸を選ぶ、タワーマンションから一般的なマンションへ切り替える、といった選択肢が考えられます。
こうした条件の調整によって、予算内で購入できる物件を探すことが可能になります。
ただし、今回の売り出しデータだけでは、住宅ローン金利の上昇や買い手の嗜好の変化が在庫構成の変化を引き起こしたとは断定できません。
それでも、この傾向は高価格帯になるほど「購入可能な価格」がより大きな制約になっている可能性と整合します。
平均売出し価格の上昇には注意が必要
在庫の価格構成の変化は、平均売出し価格の統計にも影響を与える可能性があります。
一般的に、高価格帯の物件ほど1㎡当たりの価格も高くなります。
低価格帯の物件が成約する一方で、1億円以上の物件が市場に残り続ければ、売り出し中の物件全体に占める高価格帯物件の割合が高まります。
その結果、個々の物件価格が同じペースで上昇していなくても、平均売出し価格が押し上げられる可能性があります。
1億円未満の物件を探す買い手にとって、実際の問題は供給量です。
在庫総数が増加していても、低価格帯の売り出し物件が減少し続ければ、選択肢は限られたままとなる可能性があります。
一方、1億円以上の物件を売却する売り手にとって、市場環境は異なります。
競合する売り出し物件が増えれば、売却期間が長期化したり、買い手が借入可能な水準を意識した価格設定をより強く求められたりする可能性があります。
首都圏中古マンション市場で起きている重要な変化は、単純に売り出し物件が増えていることではありません。
在庫の増加分が高価格帯に集中し、市場に残る中古マンションの価格構成が変化していることがポイントです。
出典/Further Reading:
Patience Realty(2026年8月)



