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UBS 2024年版レポート、東京を不動産バブルリスクの高い世界三都市の一つに位置づけ

  • 執筆者の写真: Tsubasa Yajima
    Tsubasa Yajima
  • 2024年10月7日
  • 読了時間: 4分
2024年9月23日、UBSは「2024年版グローバル不動産バブル指数レポート」を発表し、東京がマイアミ、チューリッヒと並び、バブルリスク領域にあると指摘しました。 

 

レポートより: 

不動産市場では価格バブルが繰り返し発生しています。「バブル」とは、資産価格が大きくかつ持続的に乖離した状態を指しますが、その存在は実際に崩壊して初めて証明されるものです。 


しかし、過去のデータからは市場の過熱を示す共通のパターンが見て取れます。典型的な兆候としては、価格と地域の所得・賃料の乖離や、過剰な融資・建設といった実体経済の不均衡が挙げられます。 


UBSのグローバル不動産バブル指数は、こうしたパターンに基づきバブルリスクを測定しています。将来の価格調整の有無やその時期を予測するものではなく、マクロ経済の勢いの変化、投資家心理の転換、大幅な供給増加といった要因が価格下落のきっかけになる可能性があります(5ページより)。 


つまりこのレポートは、住宅価格の動きが賃金や家賃とどの程度乖離しているかを軸に、各都市のバブルリスクを評価しているといえます。 


レポートは、東京・マイアミ・チューリッヒが現時点で不動産バブルにあると断定しているわけではなく、バブルが存在する「リスクがある」と指摘しているに過ぎません。 

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UBSレポートの5ページ目より(原典はこの記事の下部にリンクされています)

東京の不動産に関するUBSの見解は?

東京の不動産市場は依然として上昇基調にあり、過去1年間で住宅価格は約5%上昇。これは数年にわたる着実な成長トレンドの延長線上にあります。過去5年で見ると、住宅価格はインフレ調整後で30%以上上昇し、家賃の伸びを大きく上回っています。 

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出典:UBSレポート14ページ


都市部への人口流入と地方の人口減少が続く中、住宅需要は一段と高まり、価格を押し上げています。 


わずかに金利が上昇しているにもかかわらず、需要は堅調。特に円安の影響で、東京の不動産は海外投資家にとってさらに魅力的な存在となっています。 

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住宅価格の上昇が続く中、不動産バブルへの懸念も高まっています。高騰の背景には、日銀の長期にわたる低金利政策と金融緩和があるとされています。 

 

ペイシャンスリアルティの見解

昨年、私たちは「価格対所得比」における“所得側”に注目しました。大企業に勤める人々だけでなく、転職によって賃金を上げた人々の存在により、所得は上昇傾向にあると指摘しました。 


2024年、日本経済の現状について、10月2日付のNikkei Asiaは次のように報じています: 


経済回復と消費動向:

  • インフレ圧力がある中でも、国内消費は回復傾向です。

  • 日銀の短観では、宿泊・飲食(指数:52)、小売(指数:28、前回比+9)に高い景況感が見られます。


小売実績:

  • 大丸松坂屋:9月の既存店売上5.4%増 

  • いなげや:売上・来客数ともに3.7%増 

  • ユニクロ:8月は6%成長、8カ月連続の増加 


観光・インバウンド需要: 

  • 欧米・中国・台湾からの訪日需要がプリンスホテルで売上20%増、稼働率5%上昇 

  • 外国人観光客が都内高級ホテルの需要を支えています


賃金・物価動向: 

  • 実質賃金は6月・7月ともに上昇、個人消費を下支えしました

  • 10月は2,911品目で値上げ、今年最大の上昇数です


企業業績と人手不足: 

  • 企業は2024年度に売上2.3%増を見込む一方、経常利益は5.7%減(6月予想より改善) 

  • 大手製造業で人手不足指数は19ポイント、非製造業では39ポイントとなっています(1991年以来の深刻さ) 


ホテル業界の課題: 

  • 都ホテル京都:人員が20%不足し、他部門からの応援で対応中 

  • マリオット鳥取:人手不足と建築資材高騰により開業延期 


人手不足への賃上げ対応: 

  • サントリーホールディングスは、2024年に続き2025年も7%の賃上げを予定しています

 

日銀が現状の低金利を維持し、かつ実質賃金がインフレを上回るペースで上昇し続ける限り、東京の不動産市場はファンダメンタルズの面で健全さを保つと私たちは考えます。 

為替が1ドル=140〜150円前後で推移する限り、観光客および不動産購入希望者にとって日本は魅力的な市場であり続けるでしょう。 


とはいえ、海外経済の減速によって急激な円高が起きれば、不動産市場の買い需要に影響が出る可能性もあり、必ずしも楽観視できる状況ではありません。 


それでも、「インフレ率を上回る賃金成長が不動産バブルを抑制する」という私たちの仮説は、今のところ妥当性を保っているように見えます。 


もちろん、最終的な判断は時間が経ってみないと分かりませんし、保証されるものではありません。 

 
出典:  

Nikkei Asia「賃金と観光が支える日本の国内消費」(英語/有料記事) 

 

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