東京の生コン価格が14%上昇、過去最高に|資材・人件費高騰で建設コストに影響

2025年、東京の生コンクリート価格が大幅に上昇しました。メーカーが資材費、輸送費、人件費の上昇に対応する中、首都圏の建設コストにさらなる上昇圧力がかかっています。
東京地区生コンクリート協同組合は、2025年4月1日以降の出荷分から、販売価格を1立方メートル当たり3,000円引き上げました。これにより、標準価格は1立方メートル当たり22,000円から25,000円となり、約14%の値上げとなりました。

2010年-25年までの生コン価格の推移(東京地区生コンクリート協同組合提供のデータより)
同協同組合は2024年10月に価格改定を発表し、2025年4月の実施に先立って新たな価格表を公表していました。今回の変更は、数年にわたる建設資材コストの上昇に加え、コスト上昇分をより迅速にプロジェクトの価格へ反映させるため、供給業者が進めてきた取り組みの一環です。
資材費と人件費への上昇圧力
生コンクリートはセメントに砂や砕石などの骨材を混ぜて製造するため、複数の原材料コストの変動に影響を受けます。
2025年4月の値上げに先立つ業界報道では、セメントや骨材の価格上昇に加え、輸送費の上昇も指摘されていました。こうしたコスト上昇に加え、建設現場だけでなく、生コンクリートの配送に必要な物流分野でも人手不足が深刻化しています。
東京地区生コンクリート協同組合は、加盟企業における完全週休2日制の実現にも取り組んでいます。この取り組みは、労働環境の改善と人材確保を目的としたもので、スタッフやドライバーの確保が重要な経営課題となる中で進められています。
開発事業者にとって、今回の値上げは単に一つの建設資材の単価が上昇するという問題ではありません。生コンクリートは鉄筋コンクリート造の住宅、商業施設、再開発プロジェクトなどで幅広く使用されるため、価格上昇が長期化すれば、建設費全体に直接影響する可能性があります。
今年4月に公表された建設業界のデータによると、東京23区における代表的な仕様の生コンクリートの納入価格は、2022年1月の1立方メートル当たり14,800円から2024年12月には20,800円まで上昇していました。今回の値上げは、こうした長期的なコスト上昇の流れをさらに延長するものとなっています。
価格決定のタイミングを出荷時に近づける
価格上昇と並行して、東京の生コンクリート市場では供給契約の仕組みも変化しています。
東京地区生コンクリート協同組合は2023年4月から、1年契約を基本とし、出荷時点で価格を決定する方式を導入しました。
従来の方式では、プロジェクトの契約時に決定した価格が、実際の生コンクリートの納入がかなり後になった場合でも適用されることがありました。
この違いは、数年にわたる大規模再開発プロジェクトが多い東京では特に重要です。
長期にわたる工事期間中に資材コストが大幅に上昇した場合、かなり前に固定された契約価格では、供給業者がその差額を負担することになります。出荷時価格方式では、プロジェクト期間中もその時点の市場価格をより定期的に反映できるようになります。
開発事業者やゼネコンにとっては、これによりインフレによるコスト上昇リスクの一部が建設予算側へ移ることになります。そのため、長期プロジェクトでは、早い段階で価格を固定する契約方式と比べて、最終的な生コンクリート費用の見通しが立てにくくなる可能性があります。
同協同組合は、安定供給や労働環境の改善と並んで、出荷時価格方式の確立を重点施策の一つと位置付けています。
大規模な開発案件が続く一方、出荷量は減少
価格が引き上げられている一方で、現在の出荷量は低調な状況にあります。
東京地区生コンクリート協同組合によると、2025年4月の生コンクリート出荷量は20万1,479立方メートルとなり、前年同月比15.9%減少しました。
この減少は、東京で建設需要がなくなったことを必ずしも意味するものではありません。大規模な再開発や建築プロジェクトでは引き続き大量の生コンクリートが必要とされていますが、工事の進捗スピードは、人手の確保状況や労働時間、工事スケジュールなどの影響をより強く受けるようになっています。
日本の建設業界では2024年4月から、それまで適用が猶予されていた時間外労働の上限規制が適用されています。原則として、時間外労働は月45時間、年間360時間までに制限され、特別な事情がある場合にも追加の上限が設けられています。
この規制は、長時間労働の是正と建設業界の持続可能な労働環境の実現を目的としています。一方、プロジェクトオーナーにとっては、長時間労働に依存した工程ではなく、現実的な工期を設定することの重要性がさらに高まっています。
東京の不動産マーケットにとっての意味
今回の生コンクリート価格の上昇は、東京の建築建設・不動産業界の中で進むより大きな変化を示しています。
開発事業者は、建設資材の価格上昇だけでなく、供給業者やゼネコンがコスト上昇を長期間にわたって吸収することに慎重になっていることにも直面しています。また、労働環境の改革によって、プロジェクトの人員配置や工期の組み方も変化しています。
短期間で完成する建設プロジェクトであれば、生コンクリート価格の変動は全体予算の中の一つの調整要因にとどまる可能性があります。
しかし、複数年にわたる再開発プロジェクトでは、資材費や人件費の上昇が繰り返されることで、開発コスト全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、特にリードタイムの長いプロジェクトでは、事業計画の初期段階からコスト上昇や資材調達に関する前提条件を慎重に検討することが重要になっています。
出荷時価格方式への移行は、今回の価格上昇そのものと同じくらい重要な変化といえます。
これは、変動する建設コストをより迅速にサプライチェーン全体へ反映させる方向への転換であり、開発事業者にとっては、資材が納入される数年前に決めた価格に依存する余地が小さくなることを意味します。
出典/Further Reading:
Patience Realty(2025年5月)


