東京都千代田区による分譲マンション転売規制の提案に対し、不動産協会の理事長が疑問を呈す
- Tsubasa Yajima

- 7月28日
- 読了時間: 2分
日本の不動産業界最大の業界団体が、東京都千代田区が提案する投機的な分譲マンション購入を抑制するための新たな方針に対し、反対の意を表明しました。不動産協会会長で三菱地所会長でもある吉田淳一氏は、2025年7月25日の会見で「これは合理的な規制と言えるのか疑問であり、自由市場経済のもとでは現時点において協会が何らかの対応を取る理由は見当たらない」と述べました。

不動産協会会長 / 三菱地所会長の吉田淳一氏(提供:R.E. portニュース)
この発言は、千代田区が7月18日に発表した取引制限に関する対策要請についてのものです。区は、地元の再開発プロジェクトに関与する事業者に対し、引き渡しから5年間は分譲住戸の転売を禁止する契約条項を盛り込むよう求めています。また、同一名義での複数戸購入も禁止する特約を求めていく方針です。
千代田区はこの要請の中で、投機的な購入によって価格が高騰し、長期居住を希望する人々が地域に住めなくなっているとの懸念を示しました。「本当に住みたいと思っている人が住めない事態になっている可能性がある」と区は警告しています。「実際に住む人がいない空き住戸の増加は、地域の居住環境にも悪影響を及ぼしかねない」とも述べています。
不動産協会は、7月24日に区職員からの初回説明を受けました。事務局長の野村正志氏は、「この提案の背景にある意図や法的根拠をまだ十分に理解できていません」と述べ、「詳細を精査するまでは、正式な立場を示すことはできません」と語っています。
野村氏は、この規制の前提そのものにも疑問を呈しています。「現在の市場は、実需のニーズによって動いているのではないでしょうか。区がどのような事実に基づいているのか、現時点では把握できていません」と述べました。
一部のデベロッパーは、住民や地方自治体の要請に応じて、自主的に転売制限や購入者数制限を設けていますが、こうした慣行は依然として稀であり、業界の標準的な方針ではありません。
7月25日に開催された同理事会において、協会は都市再開発、環境の持続可能性、住宅のレジリエンス(強靭性)、物流改革に焦点を当てた幅広い政策提言も承認しました。
同提言では、建設コストの高騰への対応、脱炭素化とデジタルトランスフォーメーションの推進、そして日本の物流セクターと老朽化するマンションストックが直面する構造的な課題への備えのため、政府による支援強化を求めました。
出典:
日本経済新聞電子版(記事全文の閲覧には課金が必要です)



