地域のリーダー達がペイシャンスキャピタルグループ(PCG)と妙高高原の将来像を描く
- Tsubasa Yajima
- 7月22日
- 読了時間: 4分
更新日:7月25日
シンガポールを拠点とする投資ファンド、ペイシャンスキャピタルグループ(PCG)は、新潟県妙高高原エリアにおいて、持続可能なオールシーズン型の山岳リゾートの開発を目指す国際的な大型プロジェクトを主導しています。
2025年7月15日に開催された官民連携による協議会において、PCGは2028年の冬までにホテル2棟と商業施設の開業を目指す段階的な開発計画を発表し、最終的にはホテル6棟まで拡張する構想を示しました。
多層的かつ段階的な計画とブランデッドレジデンス
第1フェーズとして計画されている「妙高杉ノ原マウンテンリゾート」は、2028年12月の開業を予定しており、延床面積4万平方メートルのホテル2棟と、5,000平方メートルおよび2,000平方メートルの商業施設が含まれます。
このうち1棟のホテルは5つ星ブランドとなり、「ブランデッドレジデンス(Branded Residences)」を併設します。これは長期滞在を前提とした、ホテル水準のサービスを提供する富裕層向け高級住宅です。
2025年7月15日放送のTeNYテレビ新潟「新潟一番」ローカルニュース
第2フェーズは2034年の完成を目指し、合計約2万2,000平方メートル規模のホテル2棟が追加される予定です。第1フェーズだけでも総投資額は700億円と見積もられています。
すでに温泉の掘削が始まっており、PCGは8月までにホテル運営事業者との契約を締結し、今年9月にはブランド名を公表する予定です。
このリゾートは、スキーシーズンに限らず、年間を通じて国内外の観光客と地域住民の双方に魅力を持つホスピタリティ、商業、レクリエーションを提供することを目指しています。
オールシーズン型リゾートの構築
妙高エリアはすでに冬の観光地として人気がありますが、PCGはニセコのようなスノーシーズンのみの季節依存を避け、年間を通じて集客できるリゾート開発に力を入れています。
PCGのケン・チャンCEOはシンガポールからのリモート参加で、「妙高にはアクセス、自然、インフラのバランスがある。年間を通じて訪れる人がいる山岳リゾートを構築したい」と語りました。

ペイシャンスキャピタルグループ日本副代表入江大氏のYouTubeニュース映像のスクリーンショット
PCG日本副代表の入江大氏は、「地元の方々も楽しめる季節や時間帯を意識したい。持続可能性と地域との一体化が重要です」とコメントしました。
地域行政と民間の連携
7月15日の会議は、新たに設置された官民連携協議会の初会合で、構成団体は新潟県、妙高市・上越市・糸魚川市・佐渡市の4市、えちごトキめき鉄道、地域金融機関、交通事業者など計11団体です。

会議開始直前に撮影された官民連携による協議会の様子(youtubeニュース映像より)
この協議会の目的は、インフラ整備、観光戦略、広報連携を通じて、地域全体が本プロジェクトの恩恵を受けられるようにすることです。
新潟県の担当者は、「現在は外国人観光客が冬季に赤倉地区へ集中していますが、その恩恵を上越地域全体に波及させる必要があります」と強調しました。
県は、2027年3月までに妙高高原駅のバリアフリー化、公共交通機関へのキャッシュレス決済導入、周辺道路の整備を進めるとしています。えちごトキめき鉄道も、PCGとの正式な連携による広域観光の支援を検討しています。
一方、妙高市は、PCGプロジェクトへの期待が高まるなか、第三者による無秩序な開発を防ぐため、新たな規制の提案準備を進めています。
経済活性化と地域への影響
このプロジェクトは観光施策にとどまらず、地域経済全体の活性化にも寄与するものと位置づけられています。協議会の議長は、「本計画は観光を通じた経済刺激だけでなく、雇用創出や移住・定住の促進にもつながる可能性があります」と述べました。
ケン・チャンCEOもその意志を示し、「地域活性化に貢献したい。今年の第3四半期または第4四半期には、さらに具体的な計画を共有できる見込みです」と語りました。
妙高市の担当者も住民への情報発信の重要性に言及し、「PCGの計画が具体化した段階で、市民向けの説明会を開催し、理解と関心を深めていただく予定です」と述べました。
今後の展望
地方自治体の強力な支援と、国際的魅力と地域貢献を両立する明確な戦略のもと、「妙高杉ノ原マウンテンリゾート」は、日本における最も総合的なオールシーズン型リゾート開発のひとつとなる見通しです。
PCGは、2025年9月以降にさらなるプロジェクト詳細を発表する予定であり、長期的なビジョンとして、地域の持続可能性と世界水準の観光競争力の確立を掲げています。