金利上昇で不動産オーナーの慎重姿勢強まる|返済負担増で賃料改定や新規購入に影響、楽待調査

日本の住宅不動産投資家の行動に、借入金利の上昇が影響し始めています。不動産オーナーからは、キャッシュフローの悪化、新規物件の購入に対する慎重姿勢の強まり、賃料引き上げの検討といった動きが報告されています。
不動産投資プラットフォーム「楽待」が2026年10月6日に公表した調査によると、不動産投資ローンを利用している回答者239人のうち、77.8%が過去1年間に借入金利が上昇したと回答しました。

不動産投資家が保有物件のポートフォリオを確認しているスクリプトで作ったAI生成画像/禁無断転載
賃貸物件のオーナー286人を対象とした調査では、36.7%がすでに賃料を引き上げたと回答し、さらに26.9%が引き上げを検討中、または予定していると答えました。
金利上昇がオーナーのキャッシュフローを圧迫
保有ローンのうち、最も大きな金利上昇を経験したローンについて回答した123人では、金利の上昇幅は平均0.625ポイントでした。
月々の返済額について回答した149人のうち、130人が返済額の増加を報告しました。このうち、月々の返済額の増加幅の中央値は1万5,000円でした。
また、返済額が増加した回答者のうち、月々の増加額が5万円以上だった人は、返済額に関する質問への回答者全体の13.3%を占めました。
不動産オーナーにとって、借入返済の負担増は、固定資産税などの税負担、修繕費、保険料、管理費、空室に伴う損失といった運営コストに上乗せされます。
賃料収入が増えず、ほかの費用も減らなければ、オーナーの手元に残るキャッシュフローはその分だけ減少します。
楽待には、金利負担の増加によってキャッシュフローが減少した、物件の利回りと借入金利の差が縮小した、あるいはローン元本の減少ペースが鈍化したといった投資家の声も寄せられました。
賃料の引き上げを検討するオーナーが増加
賃料について回答した286人のうち、36.7%はすでに賃料を引き上げたと回答しました。さらに26.9%が引き上げを検討中、または予定している一方、33.2%は引き上げるつもりがない、もしくは引き上げることができないと答えました。
回答者が挙げた理由は、借入コストの上昇だけではありません。楽待によると、周辺の賃料相場の上昇、固定資産税などの税負担、修繕費、光熱費の増加も理由として挙げられました。
この違いは重要です。金利上昇はオーナーの支出を増やしますが、それだけで入居者が受け入れる賃料が決まるわけではありません。実際に賃料を引き上げられるかどうかは、地域の賃貸市場、競合物件の状況、空室率、既存の賃貸借契約などに左右されます。
したがって、今回の調査は、賃料引き上げを検討する圧力が強まっていることを示すものです。一方で、金利上昇によって日本全国で賃料が上昇していることを裏付けるものではありません。
新規物件の購入にも慎重な姿勢
金利上昇は、新規物件の取得判断にも影響しています。
足元の市場環境を踏まえ、不動産購入に対する姿勢が変化したかを尋ねたところ、回答者339人のうち44.0%が、以前より慎重になったと答えました。一方、47.5%は購入に対する姿勢に変化はないと回答しました。
慎重になったと回答した投資家からは、物件価格の上昇、建築コストの増加、金利上昇が重なり、収支面で購入を検討できる物件が減っているとの声が寄せられました。
不動産オーナーの行動変化を捉える調査
楽待は、同社の不動産投資プラットフォームに登録しているユーザーを対象に、2026年8月20日から9月8日までオンライン調査を実施し、339件の有効回答を得ました。設問によって回答対象者数は異なります。
この調査は、日本の不動産オーナー全体を網羅したものでも、賃貸不動産市場全体を統計的に代表するものでもありません。楽待の利用者は積極的に不動産投資を行う層であり、オンライン調査への回答者も、より広いオーナー層とは異なる可能性があります。
それでも今回の結果は、借入金利を伴う不動産投資を行う一部のオーナーが、日本の金融環境の変化をどのように受け止めているかを把握する手掛かりとなります。
出典:
Patience Realty Intelligence (2026年10月)



