外国人と国内移住者を積極的に惹きつける長野県と新潟県
- Tsubasa Yajima

- 2025年8月8日
- 読了時間: 5分
長野県と新潟県では人口減少が続いている一方で、一部のリゾート地や地方自治体では人口が増加するなど、異なる動きが見られています。
白馬村や妙高市など、国際的な観光地では外国人住民の増加が人口を支えている一方、自然豊かな住環境や広い住宅、比較的手頃な住宅価格を求める国内移住者の流入も、一部地域の人口増加につながっています。

長野県では、県全体で人口減少が続く中でも、7つの市町村で人口が増加しました。
なかでも白馬村は特に高い伸びを示し、人口は366人増(前年比4.0%増)、外国人住民は505人増加しました。
こうした人口増加は、白馬村が世界的なスキーリゾートとして発展してきたことと密接に関係しています。外国人住民の中には、宿泊施設やレストランなど、海外からの旅行者を対象とした事業を立ち上げるために移住するケースも見られます。
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この増加は一時的なものではありません。白馬村の統計によると、2024年は転入者数が転出者数を上回る「社会増」が大幅に拡大しており、継続的な人口流入が続いています。
こうした人口流入は地域経済や不動産市場を支える一方で、住宅不足やインフラ整備、多言語による行政サービスの充実といった新たな課題も生み出しています。
妙高も国際的なマウンテンリゾートとして成長
妙高市では総人口は増加していないものの、外国人住民は約2%増加しました。
白馬と同様に、その背景には国際観光の拡大があります。外国人住民の多くは、スキー場や温泉地を中心に、観光関連事業に従事したり、自ら事業を運営したりしています。
妙高市は、国際的な知名度の向上を観光戦略の柱の一つとして掲げています。市の観光振興計画では、「世界有数のパウダースノーを楽しめる国際的な観光地」として妙高を位置付け、訪日外国人旅行者の誘致や観光人材の確保、新規事業の創出、移住・定住支援などを重点施策としています。
同計画によると、2023年の外国人延べ宿泊者数は約12万人泊で、2029年までに18万人泊を目指しています。また、交通アクセスや観光施設の整備、人材育成、新たな観光事業への支援も進める方針です。
不動産市場にとって重要なのは、観光の国際化によって需要が短期滞在型の宿泊施設だけでなく、従業員向け住宅や事業用不動産、年間を通じて居住できる住宅にも広がる可能性がある点です。
一方で、外国人住民の増加だけで人口減少が解消されるわけではありません。今後は、観光をきっかけとした移住が地域サービスを支え、冬季以外の時期にも安定した住宅需要を生み出せるかが重要なポイントとなります。
御代田町では国内移住が住宅需要を押し上げる
人口が増加した長野県内の自治体の中には、国内移住者の流入が主な要因となっている地域もあります。軽井沢町に隣接する御代田町では、人口が219人増加し、前年比1.32%の人口増となりました。
軽井沢へのアクセスを維持しながら、住宅価格や居住環境を重視する世帯の移住先として注目を集めています。
住宅需要の高まりを受け、御代田町では約5ヘクタールの敷地に約100区画の住宅用地を整備する開発計画が進められており、2027年の完成を予定しています。
この事例は、白馬や妙高とは異なる地域需要を示しています。観光関連の移住ではなく、定住を目的とした世帯が、より広い住環境や生活利便性、周辺都市へのアクセスを求めて移住している点が特徴です。
湯沢町ではリゾートマンションを定住促進に活用
新潟県では、湯沢町が唯一、総人口の増加を記録しました。
人口は前年比1.80%増加し、転入から転出を差し引いた社会増は3.26%となりました。
湯沢町には、1980年代後半から1990年代初頭のリゾートブーム期に建設された約15,000戸のリゾートマンションがあります。同町では、こうした既存ストックを移住促進策にも活用しています。
2021年度からは、移住希望者が1泊2,000円で最長30日間滞在できる「お試し居住制度」を実施しています。
さらに2025年度からは、一定の条件を満たす若年世帯を対象に、最大100万円の移住支援金制度も設けています。対象となるには、転入前の居住地や就業・起業状況、定住意思などの条件を満たす必要があります。
一方で、住宅供給には課題もあります。既存のリゾートマンションは短期滞在向けに設計された住戸が多く、ファミリー層が定住するには手狭なケースも少なくありません。
そのため、既存リゾートマンションの活用に加え、子育て世帯向けの新たな住宅開発も民間事業者によって進められています。
また、外国人住民は町の人口の約8%を占めています。民泊を運営する人や旅館・ホテルを引き継ぐ人もおり、後継者不足に直面する地域の観光産業を支える存在となっています。
町では、英語・中国語によるごみ分別案内を整備するとともに、外国人住民の自治会活動への参加も促進しています。
不動産市場への示唆
これらの自治体の人口増加は、長野県・新潟県全体の人口減少と比べれば決して大きな規模ではありません。
しかし、人口や住宅需要が、国際観光地としての魅力や豊かな住環境、あるいは周辺都市へのアクセスといった強みを持つ地域へと、より集中しつつあることを示しています。
不動産市場において重要なのは、単に空き家や住宅ストックが存在するかどうかではありません。
現在その地域を居住地として選ぶ人々のニーズに合った「立地」「住宅の質」「住まいの形態」を備えているかどうかが、今後ますます重要になるでしょう。
出典/Further Reading:
Patience Realty(2025年8月)


