2050年脱炭素社会へ既存住宅の省エネ改修が鍵|野村総合研究所、新築住宅着工減少を予測
- Tsubasa Yajima

- 6月19日
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野村総合研究所(NRI)は2026年6月18日、日本の新築住宅市場の縮小が進む中、新築住宅の省エネルギー性能を高めるだけでは、2050年の脱炭素目標の達成は困難であるとの見解を示しました。

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同研究所は、「2026~2040年度の新設住宅着工戸数予測 ― 新築ZEHはスタートライン、既存住宅ストックの性能向上が不可欠 ―」と題したレポートを公表しました。
レポートでは、新設住宅着工戸数は2030年度に約80万戸となった後、2040年度には約61万戸まで減少すると予測しています。
なお、住宅着工戸数の予測は年度ベース、リフォーム市場の予測は暦年ベースで算出されています。
NRIは、新築住宅の着工減少が続く中では、新築住宅の省エネ性能向上だけでは住宅ストック全体の脱炭素化は実現できず、既存住宅への対策を一層強化する必要があると指摘しています。
そのためには、大規模な省エネリフォームの推進に加え、老朽住宅の計画的な除却や、良質な既存住宅を長期間活用できる制度整備が重要になるとしています。
既存住宅の性能向上が今後の鍵に
日本の居住用住宅ストックは、2025年度時点で約5,626万戸と推計されています。
一方、2050年度には約5,168万戸まで減少する見通しです。
毎年供給される新築住宅は、住宅ストック全体の約1%にとどまるため、新築住宅の省エネ性能を引き上げても、その効果には限界があります。
NRIは、高性能な新築住宅を1.6戸供給するごとに、既存住宅3戸の省エネ改修と老朽住宅2戸の除却が必要になると試算しています。
具体的には、2050年までに以下の取り組みが必要とされています。
2026年度以降、高性能な新築住宅を1,566万戸供給
最新の省エネ基準を満たさない住宅を中心に3,000万戸の省エネ改修を実施
2,025万戸の既存住宅を除却
この目標を達成するためには、2026年度から2050年度まで毎年平均120万戸の省エネ改修と、現在のペースに加えて年間約56万戸の追加除却が必要になるとしています。
GX ZEHへの移行が加速
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、高断熱化や高効率設備によってエネルギー消費を抑え、太陽光発電などでエネルギーを創出することで、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロに近づける住宅です。
2024年度には、日本の新築住宅の約30%がZEH基準を満たしました。
一方、大手ハウスメーカーが2025年度に供給した新築住宅では、その割合は約80%に達しています。
さらにNRIは、今後は「GX ZEH(グリーントランスフォーメーション・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」への移行が進むとしています。
GX ZEHは従来のZEHより厳しい省エネ基準を採用しており、断熱性能の向上に加え、一次エネルギー消費量を基準値から35%以上削減することが求められます(従来のZEHは20%以上)。
GX ZEHは2027年4月から適用される予定で、2030年までには、新築住宅に義務付けられる省エネ基準もZEH相当まで引き上げられる見込みです。
NRIは、こうした制度強化は重要である一方、新築住宅だけでは住宅ストック全体への影響は限定的であり、既存住宅の省エネ性能向上が今後ますます重要になると結論付けています。
参考資料:
・2024年度NRIレポート
・2025年度 NRIレポート



