2026年上半期の企業倒産件数、2014年以来の高水準|建設業・中小企業で人手不足と物価高が深刻化
- Tsubasa Yajima

- 7月14日
- 読了時間: 5分
東京商工リサーチによると、2026年上半期(1〜6月)の企業倒産件数は、原材料価格の高騰や人手不足、債務負担などを背景に増加しました。特に中小企業への影響が大きく、建設業を中心に厳しい経営環境が続いています。
東京商工リサーチが公表したデータによると、2026年1〜6月の企業倒産件数は5,346件となり、前年同期比7.1%増加しました。
上半期としては5年連続の増加となり、5,000件を超えるのは2014年以来となります。

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負債総額は約7,341億円となり、前年同期比6.3%増加しました。
帝国データバンクの集計でも同様の傾向が確認されており、倒産件数は5,335件(前年同期比6.6%増)、負債総額は約7,247億円(同6.9%増)となっています。
両社は調査対象や集計方法が異なるものの、企業倒産が増加傾向にある点では一致しています。
中小企業の倒産が大半を占める
東京商工リサーチによると、倒産企業の約77%は負債総額1億円未満でした。
また、従業員10人未満の企業が約91%を占め、上場企業の倒産は1社のみでした。
帝国データバンクでも、負債5,000万円未満の企業が全体の62.2%を占めています。
このことから、資金余力が限られ、コスト上昇分を価格へ転嫁しにくい中小企業に倒産が集中していることが分かります。
物価上昇によるコスト負担が深刻化
帝国データバンクによると、2026年上半期の物価高関連倒産は556件となり、前年同期比23.8%増加しました。2018年の調査開始以来、半期ベースで過去最多となっています。
内訳では、原材料価格の高騰が255件、人件費の上昇が145件、エネルギーコストの増加が106件となりました。
これらは重複する場合もありますが、複数のコスト要因が同時に企業収益を圧迫している状況を示しています。
中小企業では、原材料や輸送費、光熱費、人件費の上昇を十分に価格へ転嫁できないケースが増えています。
人手不足も経営リスクに
人手不足も企業経営に直接的な影響を及ぼしています。
東京商工リサーチによると、人手不足関連倒産は237件となり、前年同期比37.7%増加しました。
このうち、人件費の上昇が要因となった倒産は120件で、前年の2倍以上となっています。
単に人材を確保するだけでなく、採用や人材定着のために賃金を引き上げる必要がある一方、価格転嫁が難しい企業では収益確保が一層困難になっています。
コロナ融資後も債務負担が続く
新型コロナウイルス対策として導入された実質無利子・無担保融資を利用した企業の倒産件数は減少しました。
一方で、返済条件の変更や借り換えにより元本返済を先送りしている企業も多く、十分な利益を確保できない企業では依然として債務負担が続いています。
コスト上昇や賃上げへの対応に加え、金融機関による返済猶予が難しくなることや、借り換えによる金利負担の増加も経営を圧迫する要因となっています。
建設業の倒産が1,000件を超える
不動産市場にとって特に注目されるのが建設業です。
東京商工リサーチによると、2026年上半期の建設業倒産件数は1,026件となり、前年同期比5.8%増加しました。
上半期として1,000件を超えるのは2014年以来となります。
帝国データバンクでも、物価高関連倒産151件と、調査対象業種の中で建設業が最多となりました。
建設業界では、鉄鋼、木材、コンクリートなど建築資材価格の上昇に加え、技能労働者不足や外注費の上昇、就業者の高齢化など複数の課題が重なっています。
一方、不動産業の倒産件数は162件で、前年同期比1.2%増と比較的緩やかな増加にとどまりました。
そのため、不動産オーナーやデベロッパー、投資家にとっては、不動産会社そのものよりも、施工会社や専門工事業者の経営状況が重要なリスク要因となる可能性があります。
施工会社の倒産が増えれば、工事の遅延や未完成リスク、維持管理体制への影響などが生じる可能性があります。
後継者不足による倒産も増加
帝国データバンクによると、後継者不在を要因とする倒産は312件となり、前年同期比16.9%増加しました。
半期ベースでは過去最多となっています。
その半数以上では、経営者の病気や死亡が直接的な要因となりました。
こうした倒産は必ずしも業績悪化だけが原因ではありません。
地域で安定した事業を営む企業であっても、後継者が見つからなければ事業継続が難しくなるケースがあります。
特に地方では、小規模な建設会社や設備業者、メンテナンス事業者などが長年築いてきた技術やネットワークを失うことが、地域経済へ影響を及ぼす可能性があります。
企業倒産は増加も、金融危機時ほどではない
企業倒産件数は増加していますが、世界金融危機後の水準には達していません。
帝国データバンクによると、2009年上半期の倒産件数は7,023件でしたが、2026年上半期は5,335件となっています。
今回の増加は、企業全体に及ぶ危機というよりも、利益率の低さや価格転嫁の難しさ、高齢化、債務負担など、もともと経営基盤が脆弱だった企業への負担が一段と高まっている状況を示しています。
帝国データバンクでは、倒産企業の8割以上が販売不振を主因としており、これにインフレや人手不足、資金調達環境の変化が重なっていると分析しています。
現時点では、日本の不動産市場全体の需要や価格が直ちに大きく下落することを示すものではありません。
しかし、不動産投資においては、施工会社や商業テナント、運営会社など、投資に関わる企業の財務状況をこれまで以上に慎重に確認する重要性が高まっています。
出典:
Patience Realty(2026年7月)



