大阪、日本の都市競争力ランキング5年連続全国1位ー万博効果も要因に
- Tsubasa Yajima

- 9月3日
- 読了時間: 3分
森記念財団都市戦略研究所は2025年9月2日、「日本の都市特性評価(Japan Power Cities:JPC)2025」の結果を発表しました。
同調査は日本の都市競争力を分析するもので、人口17万人以上の136都市(政令指定都市、県庁所在地、東京都23区を含む)を対象に、経済・ビジネス、研究・開発、文化・交流、生活・居住、環境、交通・アクセシビリティの6分野で評価しました。
公共データやアンケートに基づく合計87の指標からスコアが算出されています。
大阪、首位を維持

大阪の天王寺公園から通天閣を望む(Paul Cuoco氏撮影 / Unsplash)
大阪市は経済・ビジネス分野や文化・交流分野での高い評価を背景に、総合1位を5年連続で獲得しました。財団理事で明治大学名誉教授の市川宏雄氏は次のように述べています。
「建設投資、文化交流、国際イベントは幅広い分野にプラスの効果をもたらします。大阪は万博を見据えた段階ですでに地位を強めていました。環境面での弱点は残りますが、それを上回る強みを示しています。」
2025年版にランクインした上位5都市
2位:名古屋市 ― 学術、交通、居住分野で高い評価を得て順位を維持
3位:福岡市 ― 昨年の5位から上昇。ビジネス活力と国際交流の集中した強みが高評価
4位:横浜市 ― 1ランク下げたものの、観光資源や経済力で高く評価され「バランスの取れたモデル都市」として称賛
5位:京都市 ― 財政難の影響で1ランク下げたが文化・交流で1位を獲得。文化・学術都市として際立っており、研究・開発でも2位となった
その他の主な順位
6位:神戸市(変動なし)
7位:仙台市(8位から上昇)
8位:金沢市(7位から下降)
9位:札幌市(13位から上昇)― 環境指標の見直しにより「快適な気温の日数」が「夏の涼しさ」として再定義されたため、環境スコアが129位から3位へ大幅改善
10位:つくば市(8位から下降)
上位10都市の顔ぶれは昨年から大きな変動は見られませんでした。
地方都市の台頭
地方都市の中には、都市開発やインバウンド観光施策により順位を伸ばした例も見られました。
盛岡市: 2022年の59位から30位へと上昇、水辺開発や地域企業との連携が寄与しました
松山市: 2018年の59位から33位へ上昇。道後温泉などの観光資源を活用していることが評価を受けました
岡崎市: 2020年の46位から34位へ。河川沿い再開発や大河ドラマの舞台としての注目が追い風になったと見られます
市川氏は地方都市の課題について次のように言及しました。
「インバウンド観光は東京と大阪に集中しており、他都市はその1割以下にとどまります。地方都市がどのように国際的な魅力を発信するかが重要な課題です。」
東京23区の順位
東京23区の中では、港区が文化・交流分野での高評価に支えられ、2年連続で総合1位を獲得。千代田区、中央区がそれに続きました。
今後の展望
結果を総括し、市川氏は日本の都市が直面する課題について警鐘を鳴らしました。
「急速な人口減少、高齢化、インフラ老朽化、環境変化が複雑に絡み合っています。外国人住民や観光客の急増は、都市がグローバル化や多文化共生に適応できるかを試すものです。一方で、繰り返される夏の猛暑は、環境のレジリエンスや生活の質を測る新たな指標の必要性を示しています。」
出典:
日本の都市特性評価2025レポート (森記念財団都市戦略研究所)



