2025年2月20日、東京急行電鉄、東急電鉄研究開発センター、電気通信大学は、北海道倶知安町での雪上発電実証事業の継続を発表しました。持続可能なリゾート開発を目的とした包括的連携協定の一環であるこの事業は、2024年度からの取り組みを基盤としています。
スターリングエンジンは、密閉されたサイクル再生熱力学プロセスで動作する熱機関の一種です。内部燃焼エンジンがエンジン内部で燃料を燃焼させるのとは異なり、スターリングエンジンは外部熱源を利用して、2つの空間(シリンダー内部の区画)に温度差を生じさせることで作動します。
上記の20分間の動画は、Greenhill ForgeのYouTubeチャンネルのもので、スターリングエンジンとは何かを説明した後、デモンストレーション用の装置を作る様子を紹介しています(英語のみ)
東急の実証実験におけるスターリングエンジンの仕組み
加熱と冷却: エンジンの片側は加熱され (太陽光、バイオマス、またはこの場合は再生可能エネルギーで温められた不凍液などのソースを使用)、もう片側は冷たく保たれます (この実験では雪で冷却)。
ガスの膨張と圧縮: エンジン内の作動ガス (通常はヘリウムまたは空気) は、加熱されると膨張し、冷却されると収縮します。
ピストンの動き: この膨張と収縮のサイクルによりピストンが動き、機械的な作業が発生します。
発電: 機械的な作業は、発電機を使用して電気に変換できます。
このプロジェクトで役立つ理由
効率的: スターリングエンジンは、再生可能および廃熱源でうまく機能します。
静かでメンテナンスが簡単: 燃焼エンジンよりも可動部品が少ないため、静かでメンテナンスが少なくて済みます。
環境に優しい: 燃焼がないため排出量が少なく、エネルギープロセスがクリーンです。
倶知安町でのこの特定の実験では、スターリングエンジンが再生可能な熱源(太陽光とバイオマス)と冷たい雪を使用して発電するとともに、雪解けと集水にも役立っています。
現在の実験は、2025年1月9日から2月19日まで実施される予定です。
エネルギー効率と雪管理の推進
2024年の試験期間中、システムのエンジン出力は1.0kWから7.0kWに大幅に増加し、1日あたり最大168kWhの電力生産が可能になりました。
平均的な家庭が冬季に1日あたり約14.2kWhを消費することを考えると、このシステムは約12軒の住宅に電力を供給できることになります。

北海道倶知安町のスターリングエンジン実験住宅(東急不動産のプレスリリースより)
最新の実験では、発電機を収容する施設の屋根から直接雪を溶かすことを目的とした新しい設計が採用されています。さらに、雪解け水を収集して濾過するシステムも導入されており、地元の水不足の課題に対処できる可能性があります。
出典: