北海道新幹線延伸延期で不動産開発が遅れる懸念も
- Tsubasa Yajima

- 2024年4月22日
- 読了時間: 4分
北海道新幹線の札幌延伸について、2030年度末までの開業は極めて困難との見方が示されました。

札幌駅再開発完成予想CG / JR北海道2022プレスリリースより
2024年5月、独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)は、この見通しを国土交通省へ正式に報告しました。これを受け、政府は事業スケジュールの見直しを進めていますが、新たな開業時期は現時点で公表されていません。
主なポイント
北海道新幹線の札幌延伸は、2030年度末までの開業が極めて困難と判断されています
倶知安駅(仮称)は、ニセコエリアのアクセス向上や観光需要、不動産価値を支える長期的な成長要因として位置付けられてきました
一方で、現時点では新幹線開業の遅れ以上に、建設費の高騰や人手不足が開発計画へ与える影響の方が大きい可能性があります
北海道新幹線の開業延期は、交通インフラだけでなく沿線のまちづくりにも影響を及ぼす可能性があります。札幌市をはじめ沿線自治体では、2031年春頃の開業を前提に再開発計画が進められてきました。
不動産市場においては、駅周辺の開発や投資、リーシング計画の時期が見直される可能性があるほか、倶知安・ニセコの将来的な成長要因として期待されてきたインフラ整備のタイミングにも影響を与えることになります。
なお、2030年度とは、2030年4月1日から2031年3月31日までを指します。
北海道新幹線札幌延伸計画とは
北海道新幹線は、現在の終点である新函館北斗駅から札幌駅まで延伸される計画です。
途中駅として長万部駅や倶知安駅(仮称)の整備が予定されており、倶知安駅はニセコエリアへの玄関口として期待されています。
延伸が実現すれば、道南と札幌間の移動時間は大幅に短縮される見込みです。
しかし、特にトンネル工事では想定以上に難しい地質条件への対応が必要となり、建設費も大幅に増加しています。
加えて、資材価格の高騰や複数工区での工事遅延も重なり、工程と事業費の双方に大きな影響が生じています。
こうした状況を踏まえ、JRTTは2024年5月、当初予定していた2030年度末までの完成は極めて困難との見解を示しました。
より差し迫った課題は建設コストの上昇
北海道では、新幹線以外にも大規模プロジェクトが相次いで進行しています。
ラピダスの半導体工場建設をはじめ、大型開発が建設会社や技能労働者の需要を押し上げています。
全国的な建設業の人手不足も重なり、人件費や建設コストは上昇傾向が続いています。
新幹線の開業時期が後ろ倒しになれば、大型プロジェクトが同時期に集中する状況はある程度緩和される可能性があります。
一方で、工期の長期化によって資材価格や人件費、金利負担がさらに上昇する可能性もあり、必ずしもコスト削減につながるとは限りません。
デベロッパーにとって重要なのは、新幹線の開業時期そのものだけではなく、採算性を維持しながら大型開発を進められるかどうかと言えるでしょう。
ニセコへの影響は
倶知安駅(仮称)の整備は、ニセコエリアの将来性を語る上で重要な要素として位置付けられてきました。
多くのデベロッパーは、新駅の開業によって札幌や北海道内各地とのアクセスが向上し、高速鉄道ネットワークとの接続性が高まることを、ホテルやブランドレジデンス、分譲マンション開発の長期的な投資ストーリーとして説明しています。
そのため、今回の開業延期は一定の影響を与える可能性があります。
新幹線は、ニセコの将来的な成長を支える重要なインフラとして期待されてきましたが、その実現時期が後ろ倒しになることで、当初の開業スケジュールを前提としていたプロジェクトでは計画の見直しが必要になる可能性があります。
もっとも、これによってニセコの投資魅力そのものが失われるわけではありません。
旺盛なインバウンド需要やホテル投資、高級リゾートとしてのブランド力、開発可能な土地の供給制約などは、引き続き市場を支える重要な要因です。
一方で、新幹線開業による将来的な価値向上への期待と、現在の市場を支えるファンダメンタルズは分けて評価することが重要と言えるでしょう。
出典/Further Reading:
Patience Realty(2026年5月)



