2026年5月の実質賃金、5カ月連続でプラス|賃金上昇が物価上昇を上回る
- Tsubasa Yajima

- 7月16日
- 読了時間: 3分
厚生労働省が2026年7月7日に公表した「毎月勤労統計調査(2026年5月分速報)」によると、日本の実質賃金は5カ月連続で前年同月を上回りました。
名目賃金の伸びが、厚生労働省が実質賃金の算出に用いる物価指数の上昇率を上回ったことが背景です。
従業員5人以上の事業所における現金給与総額は31万1,165円となり、前年同月比3.2%増加しました。

物価変動を反映した実質賃金指数(現金給与総額ベース)は、2020年を100とした指数で84.3となり、前年同月比1.4%上昇しました。
厚生労働省によると、実質賃金が前年同月を上回るのは5カ月連続となります。
実質賃金がプラスとなった背景
実質賃金は、賃金の伸び率が実質賃金算出に用いる物価上昇率を上回るとプラスになります。
2026年5月は、厚生労働省が使用する物価指数が前年同月比1.7%上昇した一方、現金給与総額は3.2%増加したため、実質賃金はプラスを維持しました。
なお、厚生労働省は実質賃金の算出にあたり、「持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数(CPI)」を使用しています。
そのため、一般的に報道される総合CPIとは異なる点に留意が必要です。
何故これが重要なのか: 賃金の伸びが物価上昇を上回ることで、家計は生活コストの上昇を吸収しやすくなります。住宅市場では、住宅価格が上昇する局面でも、購入余力の維持につながる可能性があります。
今回の結果は、2026年春闘で高水準の賃上げが実現した流れを反映したものともいえます。
春闘の高水準な賃上げが追い風に
日本労働組合総連合会(連合)が公表した2026年春季労使交渉の第7回(最終)集計によると、賃上げ率は加重平均で5.01%(月額1万6,400円)となりました。
5%を超える賃上げ率は3年連続となります。
組合員300人未満の中小組合でも、平均賃上げ率は4.69%(月額1万2,866円)となりました。
連合は政府機関ではありませんが、春闘の結果は毎月勤労統計に反映される賃金動向を把握するうえで重要な指標となっています。
基本給の伸びも高水準を維持
5月の調査では、基本給を含む「所定内給与」も堅調に推移しました。
基本給と時間外手当を含む所定内給与は29万5,945円となり、前年同月比3.0%増加しました。
厚生労働省によると、「所定内給与」が3%以上増加するのは4カ月連続で、34年1カ月ぶりとなります。
時間外手当を除いた基本給は27万5,942円となり、前年同月比3.0%増加しました。
3%以上の伸びは5カ月連続となり、33年7カ月ぶりの長さとなります。
時間外手当は2万3円で前年同月比2.9%増加しました。
賞与などを含む特別給与は1万5,220円となり、前年同月比5.2%増加しています。
一般労働者の現金給与総額は40万312円となり、前年同月比3.5%増加しました。
一般労働者の所定内給与は35万1,163円で、前年同月比3.4%増加しています。
パートタイム労働者の時間当たり所定内給与も1,452円となり、前年同月比4.9%上昇しました。
総合CPIは上昇も、実質賃金はプラスを維持
総務省が公表した2026年5月の全国消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比1.5%上昇しました。
生鮮食品を除く総合指数は1.4%上昇、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は1.8%上昇しています。
これらは日本全体の物価動向を示す重要な指標ですが、厚生労働省が実質賃金の算出に使用する物価指数とは異なります。
厚生労働省では、「持ち家の帰属家賃を除く消費者物価指数」を採用しており、この指標では5月の賃金上昇率が物価上昇率を上回ったため、実質賃金は5カ月連続でプラスとなりました。



